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エッジコンピューティングとは、簡単に言えば、ユーザー、または処理するデータのソース (デバイスやセンサーなど) に物理的に近い場所で演算処理を行うコンピューティングのことです。

コンピューティングサービスが物理的に近くにあるため、ユーザーにはサービスが高速化して信頼性が高まるというメリットが、組織にはオープン・ハイブリッドクラウドの柔軟性とアジリティを活用できるというメリットがあります

エッジコンピューティングの課題

しかし、エッジサイトでのデバイスとサービスの急増に伴い、従来の運用範囲外での処理量が増えています。プラットフォームはデータセンターをはるかに超えて拡張され、デバイスは多様化して広大なエリアに広がり、オンデマンドのアプリケーションとサービスは大きく異なる離れた場所で実行されています。

このような IT 環境の進化は、組織に次のような新たな課題をもたらしています。

  • 進化するエッジ・インフラストラクチャの要件に対応できるスキルを持った人材を確保する

  • より安全で信頼できる方法で、人間がほとんど関与せずに反応できる能力を構築する

  • 数が増え続ける考慮すべきデバイスとエンドポイントに対し、エッジで効率的にスケーリングする

もちろん、克服が難しい課題もありますが、その多くはエッジでの自動化で軽減できます。

エッジでの自動化のメリット

エッジでの運用を自動化すると、ハイブリッドクラウド・インフラストラクチャの拡張に伴う複雑さを大幅に軽減でき、エッジコンピューティングがもたらすメリットをより大きく活用できます。

エッジでの自動化には、次のようなメリットがあります。

  • スケーラビリティの向上:インフラストラクチャ全体で一貫性のある設定を適用し、エッジデバイスをより効率的に管理することでスケーラビリティを向上させます

  • アジリティの向上:顧客の要求の変化に適応し、必要な場合にのみエッジリソースを使用することでアジリティを向上させます

  • リモート運用のセキュリティと安全性に注力:現場に技術者を派遣せずに、更新、パッチ、必要なメンテナンスを自動的に実行することで、リモート運用のセキュリティと安全性に注力します

  • ダウンタイムの削減:ネットワーク管理を単純化し、人的エラーの可能性を減らすことでダウンタイムを削減します

  • 効率の向上:自動化された分析、監視、アラートでパフォーマンスを向上させて効率を向上させます

エッジでの自動化の 7 つの例

以下に、エッジでの自動化の価値を示す業界固有のユースケースと例を紹介します。

1.運輸業界

手動で行っていた複雑なデバイス設定プロセスを自動化することで、運輸会社は、人の手を介することなく、ソフトウェアとアプリケーションのアップデートを列車、飛行機、その他の移動車両に効率的にデプロイできます。これにより、時間を節約し、手動操作による設定エラーを排除できるため、チームはより戦略的で革新的で価値のあるプロジェクトに取り組むことができます。

手動のアプローチと比べると、デバイスのインストールと管理を自動化するほうが一般的に安全で信頼性が高くなります。

2.小売

新しい小売店を設立してオンラインでデジタルサービスを提供することは、ネットワークデバイスの構成管理、構成の監査、小売施設全体のコンピューティング・リソースの設定など、複雑な作業になる場合があります。店舗の設営が完了して開店すると、IT 部門のフォーカスはスピードと規模から一貫性と信頼性に移ります。

エッジでの自動化により、小売店は新しいデバイスの立ち上げと保守をより迅速かつ一貫して行えるようになり、手動での設定や更新のエラーを削減できます。

3.インダストリー 4.0

石油・ガス精製所からスマートファクトリー、サプライチェーンまで、インダストリー 4.0 では、モノのインターネット (IoT)、クラウドコンピューティング、分析、人工知能/機械学習 (AI/ML) などといったテクノロジーの、工業生産施設やオペレーション全体への統合が進んでいます。

インダストリー 4.0 におけるエッジでの自動化の価値の一例は、製造現場で見ることができます。そこでは、可視化アルゴリズムにサポートされたエッジ自動化により、組立ラインで製造されたコンポーネントの欠陥を検出できます。また、危険な状態や許可されていないアクションを特定して警告することで、工場運用の安全性を向上させることもできます。

4.通信、メディア、エンターテイメント

エッジでの自動化がサービスプロバイダーにもたらすメリットは数多くあり、カスタマーエクスペリエンスの明確な向上も含まれます。

たとえば、エッジでの自動化により、エッジデバイスが生成するデータから価値ある洞察を得て、接続の問題の自動解決など、カスタマーエクスペリエンスの向上に役立てることができます。

新しいサービスの提供も、エッジでの自動化によって効率化できます。サービスプロバイダーが顧客の自宅やオフィスに送付したデバイスを顧客が接続して実行するだけで完了し、技術者が現場に行く必要はなくなります。サービス提供を自動化すると、カスタマーエクスペリエンスが向上するほか、ネットワークのメンテナンスプロセスの効率が高まり、コスト削減の可能性が生まれます。

5.金融サービスと保険

顧客は、さらにパーソナライズされ、自分のモバイルデバイスなど、ほぼどこからでもアクセスできる金融サービスとツールを求めています。

たとえば、銀行がセルフサービスツールを導入して、顧客が適切な商品 (新しい保険パッケージ、住宅ローン、クレジットカードなど) を見つけられるようにした場合、エッジでの自動化により、新しいサービスの規模を拡大しながら、カスタマーエクスペリエンスに影響を与えることなく、厳格な業界セキュリティ基準を満たすことができます。

エッジでの自動化は、金融サービスプロバイダーが必要とする信頼性とスケーラビリティとともに、顧客が望む速度とアクセスを提供するのに役立ちます。

6.スマートシティ

サービスを改善して効率を向上するため、多数の自治体が IoT や AI/ML などのエッジテクノロジーを取り入れて、公共の安全、市民の満足度、環境の持続可能性に影響する問題を監視し、対応しています。

初期のスマートシティ・プロジェクトは当時のテクノロジーの制約を受けるものでしたが、5G ネットワークの導入 (および今後の新しい通信テクノロジー) により、データ速度が向上するだけでなく、より多くのデバイスを接続できるようになります。機能をより効果的に拡張するためには、スマートシティはデータ収集、処理、監視、アラート送信などのエッジ運用を自動化する必要があります。

7.医療

医療機関が、病院から外来センター、診療所、独立型緊急治療室などの遠隔治療オプションへと移行し始めてから長い時間が経ちました。その間にテクノロジーは進化し、広く普及し、このような新しい環境をサポートしてきました。臨床上の意思決定も、ウェアラブルな各種の医療デバイスから生成された患者データに基づいて改善され、パーソナライズされます。

自動化、エッジコンピューティング、分析を使用して、臨床医はこの大量の新しいデータを効率的に価値ある知見に変換し、患者の容態を改善しながら、財務および運用上の価値を実現できます。

Red Hat Edge

Red Hat Edge を活用した先進的なコンピュート・プラットフォームは、組織がオープン・ハイブリッドクラウドをエッジにまで拡張するのに役立ちます。Red Hat Edge は、オープン・ハイブリッドクラウド全体でエッジ・コンピューティングの統合を進めるという Red Hat の取り組みが形となったものです。Red Hat の大きくかつ成長著しいパートナーとのエコシステムとオープンな手法により、企業は急速に変化する市場環境に対応し、差別化された製品を生み出すためのプラットフォームを柔軟に構築できるようになります。

Red Hat Edge は、Red Hat Enterprise Linux や Red Hat Ansible Automation Platform など、お客様から信頼されているエンタープライズ向けオープンソース・ソフトウェアのポートフォリオで構成されており、階層化されたセキュリティアプローチによりオンプレミス、クラウド、エッジにおけるリスク管理の向上を支援します。

Red Hat Edge テクノロジーを導入することで、お客様は Red Hat のオープンソース・プラットフォームと広範なパートナー・エコシステムを活用して、以下のような柔軟なソリューションを構築できます。

  • エッジからコア、クラウドまで、よりセキュリティを重視し、高いスケーラビリティを備えた先進的なインフラストラクチャを提供する

  • エッジコンピューティングの課題を解決し、革新的なユースケースをサポートする

  • ベンダーロックインを回避し、より持続可能なプラットフォームを構築する

  • 変化する市場の要求に適応できるアジャイルなエッジ・プラットフォームを構築する

  • 市場の状況に適応し、競争上の差別化要因を開発する

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執筆者紹介

Deb Richardson joined Red Hat in 2021 and is a Senior Content Strategist, primarily working on the Red Hat Blog.

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